ここでは、以前私の会社が介護事業所を運営していて特定技能の介護士の雇用をしたときの日本側の様子をご紹介したいと思います。
特定技能介護士受け入れ維持の経営者の心構えと気配り
2名の特定技能介護士がカンボジアからきました。
どのような準備を日本側の事業所内で行ったかについては別でご紹介しますが、今回は経営側の立場でどのように気を配って行動していたのかをお話しできればと思います。
まず私が大事にしていたのは、
- 日本人の新入社員と迎えるのと同じ感覚で対応すること。
- 基本的な業務連絡やオーダーは日本語で 通じる前提で対応すること。
でした。
それまでの10数年以上の介護事業運営、特に人事面での経験では、
日本人スタッフなのに「日本語が通じない!」、「指示がまったく理解されていない」
という経験をしていました。
ですから、スタッフにも「外国人だから、日本語通じにくいよね」 という固定概念は持たないようにしようと声をかけていました。
経営者側が心配して「現場大丈夫?」的な雰囲気を出すのはよくないと思います。
むしろ、「ちゃんと日本語勉強してきて、現地で特定技能介護士の試験もしっかり受かってきている人たちが来るんだから大丈夫!」という気持ちと態度で日本人スタッフとも接することがとても大事だと思います。
日本人スタッフ側の準備
事業所のトップの人間がそのように「外国人介護士がきても大丈夫!」という雰囲気を出すと、現場も「大丈夫そうだよね」という雰囲気になってきます。これがとても大事だと思います。
といっても、やはりそこは日本語を母国語とするスタッフとは差が出てくるのは当たり前です。
なので、何でもかんでも「大丈夫!」と楽天的に放置しておくのではなく、スタッフと一緒に特定技能介護士が就業した場合の状況を想定し、
- 日本語によるコミュニケーションがそれほど重要ではない業務はどれか。
- それほど教えなくても見て覚えてできる業務はないのか。
- マニュアルなどで簡単に実施できる業務はあるのか
という条件に当てはまる業務を考えます。
私のところでは、まず入浴後の整容と、食事介助、レクの体操でした。
髪を乾かす、歯を磨く、顔を洗うといった整容は万国共通です。ドライヤーを使って利用者さんの髪を乾かしたり、歯磨きを手伝ったりというのはほかのスタッフがやっている様子を見ればすぐにできる業務です。
また、食事介助も基本的な動作は同じですし、特にアジアの国出身者は普段からお箸をつかったり、お茶碗でご飯を食べることも普通ですので、日常的な習慣とあまり違いがありません。ですので、ほかのスタッフのやり方をすぐまねることができます。
レクの体操は、体操している場面を撮影して動画や画像で示すだけで充分対応できます。
当社でも当時の施設長がレクの場面の画像を一つずつ壁に貼って、「これでやってみてもらおうか」ということになり、すぐに対応してもらえたことがありました。
私が受ける相談でも 「今やっていることを特定技能介護士の母国語で説明した書類を用意しないといけないだろうか」といわれるケースもおおいのですが、彼らは日本語を勉強して日本語で仕事をするつもりで日本に来ています。
ですので、母国語で説明するのではなく、彼らの日本語能力で理解できるようにしていくことが重要だと思います。
海外留学の経験のあるかたはわかるとおもいますが、現地に行くとググっと英語力があがってきますよね。
それと同じで、彼らも日本に来てググっと日本語力があがってきます。
そのポテンシャルを信じて、日本人スタッフ側が対応していくというのが重要かと思います。
利用者さんの反応
これはあくまで私の事業所での経験ですが、特定技能介護士のスタッフの初出勤の時、いつもの利用者さんに日本人スタッフが「今日うちに入ったスタッフです。」と特定技能介護士を紹介しました。「カンボジアから働きに来てくれたんです」っていうと、利用者さんはちょっと顔を上げて孫でも見るかのように「あらあら、そんな遠いところから。働きに来てくれたん。こっちも元気出るわ」と笑顔で答えてくださいました。
カンボジアから来た二人もきちんと挨拶して、利用者さんの歩行器を支えるためにスッと手をだしていました。
その様子を見て「ああ。この二人は大丈夫だな」と思いました。
今日本人でも、対人業務が苦手な人も多くなりましたが、こうして初対面できちんと挨拶ができ、そしてすぐサポートしようと手が出せるというのはどんな業種であれ大事なことだとおもいます。
これは、このBlue Earth Bridgeが掲げる「人間力」とも言えると思います。
そして、まずは入浴を待つ利用者さんのお話し相手や新聞や雑誌を読む相手をしてくれましたが、きちんと腰を下げて利用者さんの目線になって対応していました。日本人スタッフでも、そのあたりを教えないといけない人もいます。
また、数日後に様子を見に行った時に、認知症の利用者さんと漢字ドリルをやっている場面に遭遇したのですが、
「カンボジアからきてたら、この漢字わからんやろ?おしえたろか?」
「はい、わからないです!教えてください!」
「これな。。」
という会話がそこで成立していて、利用者さんもなんだか楽しそうでした。
外国人だからという固定概念をもたない、もたせない
わたしが特定技能介護士を雇用した際に経験したことは、
外国人だからという固定概念を持たないし、持たせない
ということでした。
外国人だから、日本語が通じにくそうだから、習慣が違うから・・・という固定概念を持つと、「じゃあ、これも難しいかな 」「この業務はできないかもしれないな」という疑心暗鬼を生み出します。
そして、経営者や施設管理者がそのような気持ちを持つと、働くスタッフにも伝染し、「じゃあ、これを母国語に訳さないと仕事ができないんじゃないか」「日本語が通じなかったら指示もできない」と不安になってしまいます。
しかし、介護事業所、薬局を経営していてい思うのは、
指示が通じる通じないは、その人の人間性や能力によるもので 日本人も外国人も同じ
ということです。
日本人でも通じない人には通じませんし、仕事を覚える気があるのかと疑いたくなる日本人スタッフだっています。
大事なのは自分が雇用すると決めたスタッフを信じることにあると思います。
どのように日本人側のスタッフと意識を共有したらいいか、準備を進めたらいいかなどアドバイスが必要な方はお気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
七海陽子:一般社団法人 Blue Earth Bridge 理事
有限会社セブンプロジェクト 代表取締役として、薬局セブンファーマシーを経営する薬剤師。日本では、薬局以外に介護事業として通所介護事業所の経営経験があり、その際にカンボジアから特定技能性の雇用した実績を持つ。また、カンボジアで特定技能介護職向けの学校事業にも着手したことがある。元日本薬剤師会国際委員会委員としてアジア各国の薬剤師とのつながりもあり、アジアの薬事や公衆衛生の事情には詳しい。

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